名護屋城大茶会

2022.3.16

第四回 「現代にも輝き放つ黄金の茶室」

黄金づくしの茶室は意外にも上品だった

 秀吉自慢の「黄金の茶室」は平三畳の座敷。天井や壁には金の延べ板が貼られ、茶道具も金で作られました。秀吉はこの茶室を名護屋にそっくり運びこみ、諸大名や特別な客の接待に用いたとか。そのあまりの豪華さに、招かれた客も度肝を抜かれたことでしょう。
 黄金の茶室は一見すると、千利休のわび茶の洗練美とは対極にあって、秀吉の金ピカ趣味と揶揄されがちです。しかし茶室は、明るい電灯の下ではなく、奥まった座敷の中にあったのです。ロウソクの火がかすかに灯るほの暗い室内に、黄金のきらめきが浮かび上がる様は美しく、意外にも上品な空間だったのではないでしょうか。

歴史が証明する黄金の国ジパング

 当時は日本各地で金山が発掘されました。イエズス会の宣教師によりヨーロッパの精錬技術が伝来し、世界最大の金貨である天正大判や、金箔を貼った障壁画も生まれました。秀吉時代の日本は世界一の産金国であり、まさしく黄金の国ジパングでした。
 間もなく、黄金の茶室が復元され、名護屋城博物館に設置されることになります。あるべき場所に戻ってくるのは喜ばしいことですよね。現代によみがえる黄金の輝きも、はじまりの名護屋城。

佐賀新聞社社長
中尾清一郎

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